私が美しいと思うこと。
澁谷俊彦 #07

アーティスト

澁谷俊彦

“芸術”をきっかけに、
足元にある豊かな自然に
気付いてもらう。

制作のテーマは「記憶をつなぎ、日常の中で
自然の美を思い出す装置となる作品」。
自然界に人工物を設置したり、
手を加えることでその“きっかけ”を作る。

森の中に来ると、新芽が芽吹いていたり虫が歩いていたりという小さな自然の美しさに気が付きます。でもみんな、日常に戻ると見失ってしまうんですよね。だから生活の中で自然のことを思い出す装置となるアート、というのが私の制作のテーマです。今回の作品では、ケミカルブルーのピンを魚卵に見立てて倒木に挿しました。死んだ樹から新しい命が生まれるという倒木更新、生命循環のイメージです。実際この倒木からも若い枝が伸び、新たな命が育っているんですよ。この作品に使ったのは、日常どこにでもあるピン。それが作品としてこの場所にあることで、同じ物を目にした時に「あの森で見た物と同じだな」と自然のことを思い出すきっかけになりますよね。また、制作では特に色彩をとても大切にしていて、自然の緑と人工的なケミカルカラーの対比は、美しくも違和感があるようにも見えます。結果的に美しく見えていても、違和感を持つ人にとっては「自然の中に人工物を取り込むのはどうか」というアンチテーゼとしても感じられると考えています。自然の中に設置した作品は、壊れてしまうこともあり、人間は自然に勝てないということを改めて教えられます。だからこそ、自然に対峙するのではなく寄り添う形の作品で、その足下の美しい自然に気が付くきっかけを作っていきたいですね。

=PROFILE=
札幌市を拠点に、北国の地域特性を生かし自然や場との共鳴を求める作品作りを行う。代表作は色の反射を利用した「スノーパレット」「ホワイトコレクション」など。アトリエ トライアングル主宰。美術家。

EZO裏バナシ

  • 「自然の中を歩くのが大好き。小さな生き物のひたむきさに感動する気持ちは子どもと一緒だと思う」と笑う澁谷さん。生き物たちの独自のルールを発見したり、命を救ったりしながら自然の中で作品制作をしていると、「心が浄化されていく」と魅力を語ってくれた。

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